かつてSEO業界でホットな話題だったのに、今まったく耳に入ってこなくなったものの1つにページランク(PageRank)というものがあります。このページランク…
以前はSEO対策の効果を示す信頼性の高い指標として使われていました。GoogleはInternet Explorer用にツールバーを提供していて、これを使って誰でもwebページのPageRank(この記事では、個々のwebページについたスコアをPageRankと表記します)を確認できました。この時代の専門家は、ページランクの更新があるとスコアを確認して一喜一憂し、次の戦略を考えていたものです。
残念ながら、現在PageRankは非公表になっています。でも、GoogleはPageRankをランキングファクターの1つとして使っている(つまり、廃止ではありません)。ので、僕たちもこの存在を忘れていいというわけではないのです…
目次
ページランクとは各webページの重要度をランクづけするためのシステムのことです。1998年にGoogleの創始者ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンによって発明され、その後Googleの検索アルゴリズムの一部として使われています。
Googleはページランクを使って、すべてのwebページを0〜10の11段階でスコアリングしています。PageRank 0は最も低品質、PageRank 8はかなり優秀で、Page Rank 10は最も高品質で信頼できるページです。
しかしこの0〜10のスコアは、僕たちが普段使っているようなスコアリングとはちょっと違います。このスコアは対数スケールというものを使って表記されているので、単に「1+1=2」という具合にはいきません。
対数スケールとは、ある数値aに対してaの2乗、aの3乗…という具合に数値を区切ることで、非常に広範囲の数値をコンパクトに表示する方法です。今回の場合、aの2乗、aの3乗…におけるべき数(2乗の「2」、3乗の「3」…)がページランクのスコアになります。
つまり、PageRank 2のページ2つでPageRank 4のページと同等になるのではなく、PageRank 2のページがa個集まって初めてPageRank 3のページと同等になるのです。PageRank 2の被リンク2コよりも、PageRank 4の被リンク1コの方が圧倒的に価値が高くなります。
さて、ここで問題となるのが「ある数値aが実際いくつなのか?」ということでしょう。このaという数値、海外のSEO対策の専門家の間ではおそらく4〜5の間ではないかと言われています。
というわけで、a=5と仮定すると、PageRank 10の1ページの価値は、PageRank 1のページ約200万ページ分(正確には5の9乗で1,953,125ページ)に匹敵する計算になります。
ページランクはなぜ重要か?それはリンクを介してPageRankが移動し、リンク先ページの価値が上がるからです。
初期の時代から一貫して、GoogleはあるwebサイトXから別のwebサイトYへのリンクが、ページYの権威性を示す投票として機能すると考えています。ページランクが高いサイトには投票権を多く与えていて、同じリンクでも低PageRankより高PageRankのリンクの方を高く評価して、検索順位決定の参考にしています。
ただ、初期の頃はアルゴリズムが未熟で、単に被リンクを数多く集めれば、その質に関わらずPageRankが上がっていました。この時代のSEO対策といえば、単に被リンク数を稼ぐ競争だったのです。
これに対してGoogleは2012年にペンギンアップデートを導入し、質の低いスパムリンクを評価しないようにアルゴリズムを変更。この結果、スパムリンクに頼っていた多くのwebサイトが軒並み検索順位を大きく落とすことになりました。
それ以降、Googleのアルゴリズムにはペンギンアップデートが働いているため、今は初期の頃と比べて話はだいぶ複雑になりました。でも、根本的な部分でリンクを投票として考えるGoogleの方向性は今も変わっていません。SEO対策を考える上で、ページランクは依然として重要なのです。
初期の論文によると、あるページAのPageRank:PR(A)は次の式で決定されます…
$PR(A)=(1-d)+d \left(\frac{PR(T1)}{C(T1)}+\frac{PR(T2)}{C(T2)}+…+\frac{PR(Tn)}{C(Tn)}\right)$
さて、あなたは今、ここから先を読むのをやめようと思っていませんか?その気持ち、すごくよくわかります。でも大丈夫。これからこの計算式の意味を、できるだけわかりやすく説明していきます。どうかこのままお読みください。
まず、新しく立ち上げたばかりのwebサイトのページAがあるとします。まだできたばかりで、誰もそのサイトのことを知りませんし、もちろん被リンクなど1つもありません。このようなページでもPageRankは本当にゼロ!ということはなく、通常はPageRank 0.15がそのページに与えられます(上の式で言うと、通常d=0.85ということです)。
$PR(A)=(1-d) =(1-0.15)=0.15$
このページAに、外部ページT1から1つ外部リンクが付いたとします。T1のPageRankは2で、このPageRankの一部(d=0.85なら85%)が投票としてページAに流れていきます(このように、リンクを介して移動するPageRankをリンクジュースと呼びます)。
ただ、T1のもつPageRankは2と決まっているので、T1がAの他にもリンクを貼っていたら、その分リンクジュースは減ってしまいます。リンクの総数Cが2ならAが受け取るリンクジュースは2分の1に、C=3ならリンクジュースは3分の1です。
幸いT1には1つのリンクしか貼られていないので、AはT1のリンクジュースをMAXで受け取ることができます(上の式で言うとC(T1)=1になります)。
この時、上のPR(A)はどうなるかというと…
$PR(A)=(1-d)+d \left(\frac{PR(T1)}{C(T1)}\right)=0.15+0.85×\left(\frac{2}{1}\right)=1.85$
続いて、ページAに別の外部ページT2からリンクが貼られました。T2のPageRankは6と高いのですが、T2からはAの他にも外部リンクを5個貼っているので、Aが受け取るPageRankは6分の1になってしまいます。この時、上の式からPR(A)はどうなるかというと…
$PR(A)=(1-d)+d \left(\frac{PR(T1)}{C(T1)}+\frac{PR(T2)}{C(T2)}\right)=0.15+0.85×\left(\frac{2}{1}+\frac{6}{6}\right)=2.85$
このようにして、外部サイトからリンクジュースを受け取るごとに、ページAのPageRankは上がっていきます。これがページランクを決定するための基本的な仕組みです。
ところが、話はここで終わりません。やがてGoogleのエンジニアは、すべてのリンクを均等に評価することの不公平さを認識するようになりました。
何が不公平なのか?というと、同じwebページ内のリンクでも、本文中のテキストリンクやウィジェットのアフィリエイトリンク、ページの一番下にあるフッターリンクでは、ユーザーにクリックされる可能性が変わる(リンクの重要度が違う)ということです。
これを踏まえて、Googleは貼られているリンクの重要度に応じて、それぞれのリンクに異なった重みをつけることにしました。このモデルをReasonable Surferと呼びます。このモデル導入によって、Googleが…
このリンクは単なる広告だから、リンクジュースを渡すのはやめよう
とか、
このリンクはちょっと惜しいので、8割くらいのリンクジュースにしよう
などといった処理を行ってから、リンクジュースを分配するようになりました。
つまり、今も被リンクの獲得はSEO対策として重要なことに変わりありませんが、以前よりページランクを上げるのは困難になっているということが言えます。
Reasonable Surferの他にも、リンクを介したPageRankの受け渡しに影響を与える要素がいくつかあります。これらの要素を考慮しながらリンク構築を行うことが、最適なSEO対策を行う上でとても重要になってきます。
リンクジュースを受けたページから他のページにリンクを貼ることによって、受け取ったリンクジュースの一部をリンク先にも受け渡すことができます。仮にページAに合計3つの内部・外部リンクが貼られていたとすると、Aの受け取ったリンクジュースの85%を3つのリンク先ページで分け合うようなイメージです。
この性質を使って、被リンクのないページへ内部リンクを貼って、そのページのPageRankを上げることもSEO対策として必要な施策の1つです。
また、リンクにnofollow属性をつけることによって、リンク先にリンクジュースを渡さないという選択肢もあります。昔はこの特性を利用して、例えば1つのページから5つのリンクを貼っているとして、そのうち4つをnofollowリンクにして、残りの1つにリンクジュースを集中させるという施策が行われていました。
でも残念ながら、今はこの施策には意味がありません。たとえnofollowリンクでもリンクの1つとしてカウントされ、リンクジュースは均等に分散されてしまいます。つまり上の例で言うと、1つのdofollowリンクにはリンクジュースの5分の1が流れる(そして他のnofollowリンクからはリンクジュースが流れない)ということになります。
同じように、昔はPageRankの高いページからリンクを貼り、そのアンカーテキストにキーワードを入れるという施策も行われていました。キーワード入りのアンカーテキストリンクを多く獲得するほどターゲットキーワードで検索順位が高くなる…そんな時代があったのです。
この施策は昔は有効でしたが、今はかえって有害です。このようなリンクが多くなると、Googleは「サイト所有者が検索順位を操作しようとしている」と判断し、所有者に手動ペナルティーを下す可能性が出てきます。
ここまでページランクについていろいろ説明してきました。でも、肝心のPageRankを知ることができない以上、ページランクの知識を増やしたところで何になるの?あなたはそう思っているかもしれません。
大丈夫です。確かにGoogleが使っている正規のPageRankを知ることはできませんが、代替として各種SEO対策ツールを使ってページの権威性を調べることはできます。
例えば、以前からご紹介しているMozのLink Explorer。入力ボックスの左にあるドロップダウンメニューで“exact page“を指定してページのURLを入力すれば、そのページの権威性(Page Authority)が100点満点で表示されます。無料アカウントでもこの機能は使える(回数制限あり)ので、時々チェックしてみてはいかがでしょうか?
P.S. この記事でご紹介したような綺麗な数式をWordPressサイトで表示させたくありませんか?詳しくは…
>> MathJaxの使い方|WordPressサイトに数式を表示させてみる
AWAI認定コピーライター
SEO contents institute認定コピーライター
何事も“超一流の専門家から学ぶ”をポリシーとしており、コピーライティング業界で世界最高の権威である全米コピーライター協会(AWAI)でライティングの基礎を習得後、SEOコピーライティングのパイオニアHeather-Lloyd Martin、コンテンツマーケティングの世界的第一人者Brian ClarkにWebコピーライティングを学ぶ。
さらにAWAIでビジネス用Webサイト作成スキルを習得、知識ゼロの状態から自社サイトSuper Clear Contentsを立ち上げる。その経験とインターネット業界の動向をふまえて、個人事業主や副業サラリーマンに向けて最新のビジネス用Webサイト構築方法を提供している。