グレーハットSEOとは?ブラックハットSEOやホワイトハットSEOとの違い
専門家が推奨するSEO対策にもいろいろな手法があります。Googleのガイドラインに忠実に進めていくやり方、その逆にGoogleのアルゴリズムを悪用する形で進めていくやり方…
それぞれホワイトハットSEO、ブラックハットSEOという呼び方で区別されています。これはWebサイトを管理する人それぞれの考え方・スタイルの問題です。将来的なペナルティーを覚悟して、とにかく検索順位上位をとることに命をかけるブラック。一方、ランキングには強くこだわらず、ルールを守ってユーザーに価値を届けることを重視するホワイト…
最近はブラックとホワイトの中間でいいとこ取りをしようと考えるSEOの専門家もいます。これをグレーハットSEOといいますが、どこからどこまでがグレーで、どこから先がブラックになって…というのはよくわかりませんよね。
今回は、そのグレーハットSEOについての記事です。ただ、グレーを理解するためにはブラックとホワイトも正しく理解しなければなりません。というわけで、まずはブラックハットSEOとホワイトハットSEOの基礎知識から話を進めていきます。
目次
ブラックハットSEOとは?
ブラックハットSEOとは、Googleのアルゴリズムの弱点を突いて、検索結果表示画面(SERPs)で上位表示させるために数々のテクニックを駆使する手法のことです。コンテンツの質が低くても検索上位に表示されてしまうので、まじめにWebサイトを運営している人にとっては、「ズル」をされているように感じます。
パンダアップデート:キーワード詰め込みコンテンツへの対策
ブラックハットSEOは、元々Googleのアルゴリズムが未熟だったことに端を発します。1990年代の検索エンジンは、検索されたキーワードが記事内に現れる数によって検索順位のランクづけがされていました。Googleも全く無関係というわけではなく、検索語をたくさん記事に入れる方が順位が高くなる傾向がありました。
それを利用して、一部の人がランキング1位を取るためにキーワードの詰め込みを始めました。コンテンツを読むユーザーが違和感を感じるくらい、特定の単語を記事に埋め込んだのです。
また別の人は、人間の目には見えない形でキーワード詰め込みを行いました。何をしたのかというと、ユーザーに読んでもらう文章とは別に、特定のキーワードやキーフレーズを背景と同じ色で何回もくりかえしたのです(隠しテキスト)。このサイトで言えば、背景と同じ白の文字で「SEO対策SEO対策SEO対策…」とひたすら繰り返すような感じです。
この隠しテキストをリンクに応用して、隠しリンクという手法も出てきました。この後説明するように、Googleは他のページからのリンクをコンテンツの質の評価に使っています。これを逆手にとって、ユーザーに見えない形で意味のないリンクを貼りまくり、目的のページの検索順位を上げようとしたのです。
やがてGoogleのアルゴリズムは、こうした「ズル」を見抜けるようになりました。そして、こうした悪徳な手法で検索上位を独占していたサイトにペナルティーを与え、そろって検索結果に表示させないようにしたのです。これがかの有名な「パンダアップデート」です。
ペンギンアップデート:不正な外部リンクへの対策
もう1つ、Googleが行ったアップデートで世界中に大きな影響を与えたものに「ペンギンアップデート」があります。これもブラックハットSEOに対抗するGoogleの措置ですが、こちらはWebサイトに貼られるリンクに対するアルゴリズムの改定です。
この記事を書いている今でもそうですが、Googleは他のサイトから貼られるリンク(外部リンク)の数を重要視して、コンテンツの質を評価しています。自分以外の誰かからリンクを貼られるということは、そのページがその人にとって役に立ったことを意味します。ということは、外部リンクの数が多いページほどコンテンツの質が高く、SERPsでランキング上位を取りやすいということになります。
この傾向を悪用して、まったく意味のないリンクを貼りまくって検索順位を上げようとする人が現れました。例えば、中身のない架空のサイトをいくつも立ち上げて、それぞれから目的のページにリンクを貼る人(リンクファーム)。こうなると、中身に関係なくサイトをたくさん持つ人ほどSEOに強いということになってしまいます。
あるいは、自分サイトにリンク集を作って、そこから他の人のページにリンクを貼ってお金をもらうという商売も始まりました(有料リンク売買)。こういった状況を野放しにしておくと、Googleは本当にユーザーに伝える価値のあるコンテンツを上位表示できなくなってしまいます。この状況を正し、本当に意味のある外部リンクのみを重要視するようにしたのがペンギンアップデートです。
まだまだある!ブラックハットSEOの手法を一覧
これらの他にも、Googleがスパム行為と認定している手法があります。そのうちのいくつかをこれからご紹介しますが、ここに挙げたものがすべてではありませんし、今後もスパム行為の数や種類は増えていくことでしょう。
GoogleのブラックハットSEOとの戦いには、イタチごっこという側面があります。現時点ではOKの手法が、今後悪用され続けることによりスパム行為に変わってしまう可能性があります。Webサイト管理者は「コンテンツを作って終わり」ではなく、日々Googleからの最新情報を仕入れながら運営していく必要があるのです。
ゲートウェイページ
あるページから同じWebサイト内の他のページへ、不自然な数のリンク(内部リンク)を貼ることです。
典型的なのが、ホームページから他のページへリンクを貼りまくることです。GoogleはWebサイトの中でホームページを最も重要なページと認識していて、ホームページから直接リンクを貼られているページを次に重要なページと扱います。その結果、ホームページからリンクの貼られているページの方が検索順位が高くなる傾向があります。この性質を悪用すると、Googleにスパム行為と認定されてしまいます。
誤解しないでください。ホームページから他のページへ内部リンクを貼ること自体は、いたって当たり前のことです。でも、普通であればせいぜい10ページとか20ページとか、そのくらいですよね。
でも、これが100ページ、200ページ…となるとどうでしょうか?SEO対策としてだけの目的で、意味のないリンクが100コも200コも貼ってあったら、きっとユーザーとしても不自然に思いますよね。Googleはこういった「やりすぎ」を嫌っているのです。
「同一ページからリンクいくつ以上はスパム」という明確な基準があるわけではありませんが、あなたが普通にWebサイトを管理している限り、この件でGoogleにとがめられることはまずありません。そこはご安心ください。
自動作成コンテンツ
人間ではなく、コンピューターが自動で書いた文章を公開することです。GoogleにWebサイトの価値を評価してもらうためには、ある程度のコンテンツの数が必要です。でも、これをコンピューターにやらせて質の低いコンテンツが量産されると、Googleはそれを拾い上げてスパム行為と認定します。
今のところはまだ自動作成文書のクオリティーが低いので、Googleは怪しい記事を拾い上げることができます。でも、今後AIがさらに発達してきて、本当に人間が書いた文章と見分けがつかなくなったらどうなるのでしょう?今後の経過を見守っていく必要があります。
スパムコメント
あなたのブログのコメント欄に、リンクのついたコメントが書き込まれているのを見たことがありませんか?
通常これらのコメントは機械で作られて、世界中のWebサイトに勝手にコメントを残していきます。そのコメントには特定のサイトへのリンクが貼られていて、スパムコメントが表示されるほどそのサイトは外部リンクを稼いでSEOで強くなる…という話です。
こういった手法は、あなたが意図的に行うものではありません。でも腹立たしいことに、リンクを貼る方だけでなく貼られる方もGoogleからの評価が悪くなってしまいます。なので、もしあなたのページでこんなコメントを見つけたら、積極的に削除していかなければなりません。
フッタースパム
Webページの一番下にあるフッターと呼ばれるエリア…ここはほとんどのユーザーが注意して見ないところです。これを利用して、フッターエリアに不適切なリンクを貼りまくると、違反行為になります。ゲートウェイページと同じ考え方ですね。
コンテンツの入れ替え
あなたのサイト内のあるコンテンツがGoogleで検索1位をとりました。一方で、同じサイト内にGoogleから評価されない記事もある…そんな状況を考えてください。
もしここで、ページのURLをそのままにして、お互いのコンテンツだけを入れ替えたらどうなるでしょう?元々評価の低かったコンテンツは、高評価のURLのおかげで検索上位を維持し、評価の低かったURLは、評価の高いコンテンツのおかげでいずれ検索上位を獲得…そんなうまい話があるわけありません。
Googleのクローラーは、ページがインターネット上に公開されている限り、何回でもクロールにやって来ます。なので、こんなズルは簡単に見破られてしまいます。そんなセコいことを考えずに、質の低いコンテンツの改善に努めましょう、ということです。
ホワイトハットSEOで行われる対策方法
一方、ホワイトハットSEOとは…あなたのお察しの通り、Googleに認められている範囲で行うSEO対策のことです。
とにかく良質なコンテンツが命
ホワイトハットSEOとして最も大切なSEO対策は、ユーザーの求めるクオリティーの高いコンテンツを作ることです。
Googleは、ユーザーの検索エクスペリエンスを第一に考えています。ユーザーの疑問を一発で解決するページがSERPsの上位に表示されれば、ユーザーのGoogleに対する満足度が高くなって、困った時にまたGoogleを使ってもらえます。ユーザーの抱える疑問を意識したコンテンツはGoogleを助けることにもなり、そういった記事はGoogleにも高評価されやすくなります。
また、あなたの提供した情報に助けられた人が、そのページにリンクを貼ってくれることがあります。こうして自然な流れで得た外部リンクはGoogleの評価も高く、あなたのサイトにさらなるSEO効果を与えてくれます。
コンテンツの表示スピードを上げる
いくら良質なコンテンツを持っていても、それをユーザーに見てもらえなければ何にもなりません。そのため、ユーザーにストレスなくコンテンツを見てもらえる環境を整えておくことも、ホワイトハットSEOでは重要な施策です。
では、何をすればいいでしょう?まずは表示スピードの改善から。
見たいページがなかなか表示されなくて、途中で諦めて別のページを探した経験…あなたにはありませんか?経験した人にはわかりますが、この待ち時間はユーザーにとって本当にイライラするものです。
このイライラの時間を短くすればするほどGoogleの使い勝手が上がるので、Googleの評価も高くなります。一方、表示までの時間が長すぎるとユーザーエクスペリエンスが悪くなるので、そういったページは検索順位が下がってしまいます。
特に近年、スマートフォンからの検索数がパソコンからの検索数を上回ったことを受けて、スマホでのWebサイト表示速度をGoogleは評価するようになりました。Pagespeed insightsなどを使って大まかなスピード評価ができます。これでスコアが低い場合はスピードアップのための対策が必要です。
サイト内のナビゲーションを整える
ユーザーがあなたのWebサイトから情報を得たくて、ホームページを訪れたとします。ここから一発で目的のページに行ければユーザーの満足度は高いですよね。一方、何回リンクをクリックしても欲しい情報にたどり着けなければ、そのうち頭にきて別のサイトに逃げてしまいます。
できるだけ早くユーザーが正しいページに行けるように、Webサイト内の交通整理を行う(ナビゲーションを整える)ことも重要なホワイトハットSEOで行う対策の1つです。適切な交通整理がされていると、Googleのクローラーもサイト内を自由に動き回れるようになります。その結果、あなたのコンテンツがGoogleに適切にインデックスされ、SERPsに表示される確率が高くなるという別のメリットもあります。
HTTPからHTTPSに切り替える
このSuper Clear Contentsのサイトを例にあげます。URLのボックスにはhttps://superclearcontents.comと表示されているはずです。
一昔前までは、最初のhttpにsはついていませんでした。でも今は、このsがほぼ必須事項になっています。どういうことか?というと…
この“s”は“security”を表す“s”なのです。あなたのWebサイトから個人情報を盗み出そうとするハッカー達…こうした情報の漏えいに対する対策がとられたWebサイトには、httpの後ろに“s”がつけられます(もちろん、これだけでセキュリティー対策が完璧というわけではありませんが)。
ユーザーとしては、もちろん自分の個人情報が守られているサイトの方がいいですよね。Googleもセキュリティーのしっかりしていないサイトを訪れるときには、ユーザーに警告を出すようになっています。また、Googleから正式なアナウンスは今のところないのですが、最近SERPsに上位表示されるサイトのほとんどは“s”がついているという話です。
もしあなたのWebサイトにまだ“s”がついていないなら、早急にhttp→httpsに変える必要があります。レンタルサーバーで対応してくれるはずなので、問い合わせてみることをお勧めします。
関連記事:HTTPとHTTPSの違い|SSL化のメリットとデメリット
SERPsに表示されるタイトルとメタディスクリプションを整える
これらの対策が実って、あなたのページがSERPs上位に表示されるようになりました。最後の問題は、お客さんにあなたのページをクリックしてもらえるかどうか…
というわけで、そのページのタイトルやメタディスクリプションがどのように表示されるか、しっかり確認しておかなければなりません。タイトルもメタディスクリプションも、SERPsに表示される字数の制限があります。この字数をオーバーしてしまうと、ユーザーにそのページの価値が適切に伝わらなくなってしまいます。
好ましくないタイトルの例:字数オーバーでブランド名が隠れてしまっています。
好ましくないメタディスクリプションの例:字数オーバーでページの説明文が途中でカットされています。
ページのタイトルは日本語で30文字、メタディスクリプションは80文字(アルファベットではその倍)を目安にお考えください。その範囲であれば、SERPsに全文が表示されると思います。もちろんパソコンだけでなく、スマホやタブレットで検索した時にもきちんと表示されるかどうか、確認が必要です。
関連記事:スニペットとは何か?
グレーハットSEOの正確な定義は難しい
簡単に言ってしまえば、ブラックハットSEOとホワイトハットSEOの中間は、すべてグレーハットSEOということになります。でも実際のところ、そんなに簡単に片付けられるようなものでもないのです。
例えば、それまでずっとGoogleに認められていた手法が、ある時突然スパム行為と認定されてしまうことがあります。プレスリリースサイトからのリンクなんかはその一例です。あなたはずっとホワイトの立場でWebサイトを運営してきたのに、その瞬間あなたはグレーと呼ばれてしまうのでしょうか?
幸いGoogleは「スパム行為1つ1つに対して厳しく罰を与える」という立場を取っていません。アルゴリズムが日々進歩していく中で、スパム行為があってもそれを無視して、残りの部分でコンテンツの質を判断できるようになったからです。
例えばキーワードの詰め込み。はるか昔はGoogleもキーワード詰め込みを許容していました(スパム行為として認定する能力がなかった、という方が正しいかもしれませんが)。今は正真正銘のスパム行為ですが、Googleがキーワード詰め込み部分を排除してコンテンツの質を評価できるようになっているので、残りの部分の質が高ければ検索結果上位表示も十分可能です。
今後もGoogleのアルゴリズム改良は続いていき、より正しくあなたのWebサイトの価値を判断できるようになっていくでしょう。なので、あなたがずっとホワイトハットSEOの立場で新しいコンテンツを生み出していく限り、過去のコンテンツがスパム認定されることで「黒く染まっていく」ことを心配する必要はない…僕はそう思います。
もしあなたがグレーハットSEOの立場をとるなら、これだけは注意しましょう
もしあなたが最初から「グレーハットSEOでやっていく」と心に決めているのであれば、それはあなたの選択です。ただ、これだけは注意しておく方がいいでしょう。
完全な白と完全な黒、その間には無限のグレーエリアがあります。白に近いグレーもあれば、黒に近いグレーもあります。あなたがブラックの手法を多く取り入れるほど、あなたのグレーは黒に近づくことになります。
ある時あなたは心変わりして、「やっぱりホワイトでやっていこう!」と思い立ったとします。でも、最初に黒を足していればいるほど、そこから白を足して中和していく、さらに白側に持っていくのは困難になりますよね。
「最初はブラックで検索順位を上げておいて、あとはホワイトに移行」と考えている人がいます。でも、ブラックからホワイトへの移行となると、現実的にはサイト全体を作り変えるくらいの労力が必要になります。ブラックハットとホワイトハットのいいとこ取り…そんなに世の中は甘くないと僕は思います。
大堀 僚介(Ohori Ryosuke)
AWAI認定コピーライター
SEO contents institute認定コピーライター
何事も“超一流の専門家から学ぶ”をポリシーとしており、コピーライティング業界で世界最高の権威である全米コピーライター協会(AWAI)でライティングの基礎を習得後、SEOコピーライティングのパイオニアHeather-Lloyd Martin、コンテンツマーケティングの世界的第一人者Brian ClarkにWebコピーライティングを学ぶ。
さらにAWAIでビジネス用Webサイト作成スキルを習得、知識ゼロの状態から自社サイトSuper Clear Contentsを立ち上げる。その経験とインターネット業界の動向をふまえて、個人事業主や副業サラリーマンに向けて最新のビジネス用Webサイト構築方法を提供している。
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