Googleは先日、MUM (Multitask Unified Model)と呼ばれる新しいテクノロジーを将来導入すると発表しました。Googleによると、MUMはより複雑な検索クエリを正しく理解して、より好ましい回答を提示するためのテクノロジーで、その威力はBERTよりも1000倍強力なのだそうです…
BERTよりも1000倍強力!と聞くといかにもスゴい技術のように感じられますが、そもそもGoogleが考えている「複雑な検索クエリ」とはどのようなものを指すのでしょうか?Googleの公式発表に挙げられた例を提示して、将来導入されるであろうMUMとはどういうものになりそうか?を探っていきましょう。
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山登りが好きなあるアメリカ人(Aさん)が、来年の秋に富士山に登りたくなって下準備をしています。その人はアダムス山という富士山とほぼ同じ高さの山に登ったことがあるそうなので、登山に関して全くの素人というわけではなさそうです。
Aさんが富士山登山について調べるとき、どんなことを調べるでしょうか?山の標高や天気、気温、登山の難易度、必要な装備などなど…これらの情報について一通り調べるのに、今のGoogleの検索環境では平均8回の検索が必要であるとされています。
でも富士山登頂について、Googleではなく富士山への登山経験がある人(Bさん)に聞いてみるとすればどうなるでしょう?おそらくAさんが「秋に富士山に登るとすれば、どんな準備をすればいい?」と1回聞けば、Bさんはこれらの情報をすべて教えてくれるのではないでしょうか?
GoogleがMUMで目指す検索環境とは、こんな感じのものらしいです。もし本当にこんな検索環境が整ったら、いろいろ調べたいことがある人にとってはGoogleの利便性がかなり上がりますよね。
MUMの凄さはこんなものでは終わりません。MUMの導入によって、外国語の情報を母国語に自動翻訳して検索結果に表示することも可能になります。MUMは75の言語でトレーニングされ、web上の言語を理解するだけでなく、言語で発信することもできるようになるというのです。
例えば、富士山登頂についての有益な情報提供なら、圧倒的に日本語のwebサイトの方が強いはずですよね。富士山に登った経験のある人数がアメリカ人より圧倒的に多いので、その分より多くの人の登山経験から導き出された普遍性の高い注意点や、逆にAさんの体格や経済状況などに合わせた個別のアドバイスを得られる可能性が英語サイトより高くなります。
でも今の検索環境だと、日本語のキーワードで検索しないとそれらの情報はGoogle検索にヒットしません。言語の違いがネックになって、Aさんがそれらの情報にたどり着くことはかなり困難なわけです。
これがMUMの導入によって、外国語の情報もユーザーの母国語に翻訳された状態で検索結果に表示されるようになるというのですから、MUMの破壊力はすさまじいものになりそうです。外国語能力の違いによる知識の格差が緩和されれば、より多くの人にいろいろなビジネスチャンスが訪れるようになるのではないでしょうか。
そしてもう1つ。MUM導入により、どうやらGoogleは文字で入力されたキーワードだけでなく、画像情報もヒントにして最適な検索結果を返せるようになるらしいです。
例えば、富士山に登る時に履いていくトレッキングシューズ。Googleにシューズの画像をupして「この靴で富士山に登っても大丈夫?」と聞くと、Googleがその画像を分析して富士山に登るのに十分な靴かどうかを判定してくれる…そんな機能もMUMにはついてくるらしいです。
現時点ではMUMの導入がいつになるかわかりませんが、これらの検索機能が本当に使えるようになるなら、MUM導入は今までの検索環境が革命的に変わってしまう出来事になってしまうかもしれませんね。これに対してBingやDuckDuckGoなどの各検索エンジンはどう対応していくのか、個人的にはすごく楽しみです。
こういうニュースが流れると…
じゃあMUMに対してどんなSEO対策をすればいいの?
という質問が必ず出てきます。こうしたGoogleのアップデートは、それまで検索下位に甘んじていたサイトにとっては大きなチャンス。ここぞ!とばかりに対策を完璧にして、MUM導入とともに検索上位を獲ってしまおう!と意気込む気持ちはよくわかります。
でも、僕はMUM導入に対する特別な対策は必要ないと考えています。というのは、もし本当にGoogleの発表通りの検索環境になるなら、放っておいても中小サイトが検索上位を獲得する可能性がグッと高くなると予想されるからです。
だって今Googleでキーワード検索をかけたら、検索結果上位にはまるでコピペしたかのように似た内容の記事ばかり並ぶわけですよ。でも、MUM導入後Googleが多様な情報を返してくれるようになるなら、何もビッグキーワードに対して巨額のお金をかけて対策する必要がなくなる…ということになりませんか?
もちろん、個々のwebページは特定のキーワードで対策した良質の記事にしなければなりません。でも、それは今でもSEO対策としてみんながやっていること。それぞれの記事が十分に良質なら、今までよりも多彩な検索キーワードに対してGoogleがあなたのコンテンツを紹介してくれる可能性が高くなるはずです。
AWAI認定コピーライター
SEO contents institute認定コピーライター
何事も“超一流の専門家から学ぶ”をポリシーとしており、コピーライティング業界で世界最高の権威である全米コピーライター協会(AWAI)でライティングの基礎を習得後、SEOコピーライティングのパイオニアHeather-Lloyd Martin、コンテンツマーケティングの世界的第一人者Brian ClarkにWebコピーライティングを学ぶ。
さらにAWAIでビジネス用Webサイト作成スキルを習得、知識ゼロの状態から自社サイトSuper Clear Contentsを立ち上げる。その経験とインターネット業界の動向をふまえて、個人事業主や副業サラリーマンに向けて最新のビジネス用Webサイト構築方法を提供している。