インターネット業界の裏事情を暴露する新刊:ホームページの値段が「130万円」と言われたんですが、これって相場でしょうか?の書評を書いてみる
ある企業の社長さんが、友人からホームページのリニューアルを提案されました。その友人いわく、ホームページがダサすぎて見ていられないと…
誰が見ても恥ずかしくない、カッコいいホームページを友達価格で作りますよ。任せてください!
その気になった社長さんは、二つ返事で友人の提案を受け入れました。しかし、数日後に友人から届いた見積もりを見て、その社長さんは驚くのです…
合計 130万円(税別)
この提示額は、本当に適正価格なのか?友達価格とは口ばかりで、本当は彼は自分のことを友人などと思っていないのではないか?そう疑問に思った社長さんは、自らインターネット業界について徹底的に調べ上げて、業界の裏事情を暴露する本を1冊作ってしまいました…
今月(2020年2月)に発売されたばかりのこの本、ホームページ作成やSEO対策などを外部業者に委託する前に、必ず読んでおく方がいい内容になっています。今回は本に書かれている内容から3点ほどピックアップして、その内容をご紹介しつつ、それに対する僕の意見もまとめていきます…
(注:本来ホームページとは「webサイトを代表するトップページ」を表す言葉ですが、この記事では本の主旨にならって、慣例的に使われる「ホームページ=webサイト全体」の意味で使っています。ご了承ください。)
目次
本当に売り上げに貢献するホームページを作るには、最低でも月に400万円必要
いきなりぶっ飛んだ主張が出てきましたが、これは著者が「超一流の能力をもった専門家にホームページを作ってもらったら…」を基準に考えているためです。
ほとんどの企業にはこれほどのお金をホームページ作成にかける余裕はないと思います。でも、ほとんどの人が考えているような理想のホームページを外注するなら…デザインがカッコよくて、SEO対策も完璧で、思わず見入るような動画がついていて、何もしなくてもお客さんが自然に集まってくるようなホームページの作成をお願いするなら…この本に書かれているように、最低でも数百万円単位の出資は必要でしょう。
つまり、ホームページ作成やSEO対策を依頼してくるほとんどの人が考えていることは、ハッキリ言って幻想です。その幻想を捨てない限り、どの業者と契約してもトラブルが起こる可能性大でしょう。
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ホームページ作成業者とのトラブル例と、契約前のあなたに必要な対策
ホームページだけで集客という幻想さえ捨てれば、格安でもそれなりのホームページを作れます
では、400万円を払えない企業はホームページ作成を諦めろってことでしょうか?そうではありません。そうではなくて…
「自分が何もしなくてもお客さんがどんどん集まってきて、商品やサービスがずっと売れ続ける…」そんなホームページが30万円そこそこで作れるわけがない
ということをまず認識しましょうということです。
一般的に相場と考えられている30〜50万円という金額では、ホームページ作成業者でやれることが限られています。では、その限られた金額のなかで何を業者さんにお願いするのか、まずはそこを自分でしっかり考える必要があります。そこを怠ると、結局はあなたの方が痛い目を見ることになるのです。
では、どうするか…ホームページにお金をかけられない人に対する僕のおすすめは、いずれ自分で全部管理を行う前提で、業者さんにWordPressでホームページを立ち上げてもらうことです。
実際、今ネットで集客をしているほとんどのホームページ作成業者は、WordPressを使ってホームページを作成しています。WordPressなら、専門知識がなくてもデザイン性の高いホームページが簡単に作れます。30万円もあればそれなりに見栄えの良いホームページは十分に作れますし、あとで気に入らないところが出てきたら、ちょっと勉強すれば自分でカスタマイズも可能です。
関連記事:副業や個人事業主のホームページ制作にWordPressがおすすめの理由
一般企業のネットビジネスがうまくいかない理由
また本書では、ネットビジネスを始めようとする一般企業側にも成果を出せない理由があるとしています。
例えば、責任者を誰にするか?と言う話。例えば、ネットビジネスについては詳しくないけれど、他の仕事では優秀な社長の右腕。一般企業ではよくある人事のようですね。
でも、そもそもネットに詳しくない人がネットに詳しい人を雇おうとしても、優秀な人材を選別・採用するのが難しいというわけで…そこでスキルの低い人を雇ってしまって、だけど誰もその人の仕事ぶりに反論できず、ズルズルと成果の上がらない状態が続いてしまう。著者によると、担当したネット事業に関するコンサルティングの7割くらいはこのようなケースに当てはまるということです。
仕事のできる人は一般の仕事を受けたがらない
上に挙げたように、結局は優秀な人に仕事をお願いできるかどうかがネットビジネス成否のカギになるわけですが、ここで著者は残念な事実を2つ読者に突きつけています。その2つの事実とは…
- そもそも優秀な人材がめちゃ少ない
- 優秀な人材は一般の仕事を受けたがらない
著者いわく、本当の意味で「稼げるホームページを作れる人(単にホームページを作れる人ではなく、集客のために全体の戦略を練れる人)」は、東京でも30人くらいしかいないんじゃないか…という話が出るくらい、ネット業界には優秀な人材が圧倒的に不足しているようです。加えて、そういう人は「ネットを知らない大勢の人達」に横からあーだこーだ口を出されたくないので、一般の仕事を受けない傾向が強いらしいです。
ネット業界に高いスキルを持った人が本当に少ないのかどうかはわかりませんが、話の後半部分は僕にもわかります。大変残念なことに、30万〜50万程度で普通に仕事を受けてくれるようなホームページ作成業者には、少なくとも超一流のスキルをもった人がいる確率は圧倒的に低いということは言えそうです(注:一般の業者が悪い業者だと言っているのではないので、そこは誤解のないようにお願いします)。
なので、そんな優秀な人が一般の仕事に関わることはほとんどないかもしれませんが、もしあなたの前にそんな人が現れたら、その人には大金を払ってでも是非押さえにいかなければなりません。一方で、ただホームページを立ち上げるだけの技術者は世の中にたくさんいるので、そこにお金をかけてはいけないと本書では主張しています。
関連記事:経営が順調な大企業ほどプロのWebコピーライターを雇う5つの理由
SEO対策は、検索1位を獲ることよりも、そのポジションを維持する方が断然難しい
これは全くその通り。その理由は2つあります。1つめは、ユーザーの知りたいことが時代とともに変わっていくこと、2つめは、それに合わせてGoogleが日々アルゴリズムを微調整しているからです。
特に、Googleは年に数回大きなアルゴリズムアップデートを行います。これによって、今まで検索結果トップ10入りを保っていたページが一気に3ページ目、4ページ目…に落とされたりするのです。
本当にSEO対策のことを理解している人は、この事実を十分に理解しています。そして、いったん獲得した上位ポジションを維持する(あるいは、順位が落ちたときにリカバリーする)のに、ものすごい労力が必要なのも知っています。
なので、本当のSEO対策のプロは「ターゲットキーワードで検索1位を獲ります!」などと死んでも約束しませんし、数万円程度の報酬で仕事を引き受けるなど、相手がよほどの恩人でもないかぎり絶対にしません。
裏を返すと、いまだに「ターゲットキーワードで1位獲得」を約束したり、過去に検索1位をとった実績を宣伝に使っている業者に仕事を依頼するのは危険です。過去の栄光に酔いしれているだけの業者や、本当にボッタクリを企んでいる業者…いずれにしても、最新のSEO対策の知識に疎いことは間違いないでしょう。
そもそもSEOは中小企業や個人事業主にとって重要ではない?
ここは僕と著者とで少し意見が分かれるところです。確かに、大企業でやっているようなビッグキーワードで勝負しようとすると勝ち目はありませんが、ロングテールキーワードをターゲットにするならば、中小企業でも十分に勝ち目はあると僕は思います。
問題はSEO対策に意味があるかどうかではなく、コンテンツの作成能力にあるのではないでしょうか。お客さんの抱えている問題を適切に見つけ出し、それに見合ったロングテールキーワードを使って、お客さんにもGoogleにも認めてもらえるコンテンツを作り出す力があるのであれば、大企業でなくてもSEOに取り組む価値は十分にあると僕は考えます。
ちなみに、本書ではMap Engine Optimization(いわゆるMEO対策)を代理店に頼むのはお金の無駄と断言しています。MEOはちょっと勉強すれば誰でも必要な施策が取れるようになりますし、それにかかる費用はほぼ無料に等しいので、それに毎月数万〜数十万円も払うのはもったいないと、僕も思います。
本を読んだ率直な感想:ちょっと夢を砕きすぎな印象も感じるが、ネット業界の実情はよく調べられている良著
などなど、この本には今まで多く語られることのなかったホームページ作成やSEO対策などのネットマーケティングについて、一般人には見えてこない実情がしっかり調べられています。個人的には「ちょっと夢を壊しすぎかな…」という気もしますが、そこを差し引いても業者に仕事を外注する前に読んでおくべき1冊だと思います。
今回ご紹介した内容の他にも、動画を使ったSNSマーケティングやリスティング広告、ECサイト運営の裏事情など、ネットビジネス関係者必読の内容がそろっています。ぜひ下のリンクから本を購入して、全内容をご確認ください…
ホームページの値段が「130万円」と言われたんですが、これって相場でしょうか?
竹内謙礼 著、技術評論社
大堀 僚介(Ohori Ryosuke)
AWAI認定コピーライター
SEO contents institute認定コピーライター
何事も“超一流の専門家から学ぶ”をポリシーとしており、コピーライティング業界で世界最高の権威である全米コピーライター協会(AWAI)でライティングの基礎を習得後、SEOコピーライティングのパイオニアHeather-Lloyd Martin、コンテンツマーケティングの世界的第一人者Brian ClarkにWebコピーライティングを学ぶ。
さらにAWAIでビジネス用Webサイト作成スキルを習得、知識ゼロの状態から自社サイトSuper Clear Contentsを立ち上げる。その経験とインターネット業界の動向をふまえて、個人事業主や副業サラリーマンに向けて最新のビジネス用Webサイト構築方法を提供している。
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